小悪魔な幼なじみ

「離して…っ!

お願い…竜馬くんっ…!」


あたしを追いかけてきたのは竜馬くんだ。

そして手首を掴まれる。



「……どうして…泣いてるの?」


離して、そう言ったはずなのに竜馬くんは手を離してくれず、あたしの正面に立ったまま。



「……泣いてないよ」


俯いて涙を隠す。


「ウソだよ。泣いてるよ」


「泣いてない」


「どうして泣いてない、なんて言うの?」


竜馬くんがあまりにも切ない声でそんなことを言うから


「ほら、見て。

あたしはいつも通りだよ」


溢れかけた涙を堪え、いつものように笑って見せる。



「雫ちゃん、俺が言ってるのはそういうことじゃないよ」

竜馬くんはそう言って自分の胸を押さえる。


「雫ちゃんのここが泣いてる」