小悪魔な幼なじみ




やっぱり、竜馬くんはイヤだ。


あたしが必死で気持ちを抑え込んで、しっかり鍵を閉めているのに

その鍵をいとも簡単に壊してしまうんだから。



「……そんなこと…言わないでよ」


胸がまたズキズキと痛み出して。

堪えていたはずの涙が溢れ出した。



「泣かないでよ、雫ちゃん」


「竜馬くんがいけないんだよ。

あたしになんて優しくするから」


全部、竜馬くんが悪い。


あたしを追いかけてくるから。

あたしに優しくするから。


そんなことされると甘えちゃうから。

だから、やめてよ、竜馬くん。



「あたし、行かなきゃ。

先輩に怒られちゃう」


溢れる涙を手で拭い、ぐっと堪えて笑って見せる。



「心配しなくてもいいよ。

あたしは…大丈夫だから」


何が大丈夫なんだろう。

自分でも思うよ。


だってさ、今、少しでも気を抜けば笑顔は一瞬にして泣き顔に変わると思うもん。

全然、大丈夫なんかじゃない。


心の中でそんなことを思っていると竜馬くんがあたしの手を離した。

そして今までに聞いたことのないようなトーンで言った。





「……そんなに…ショック…だった?」















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