小悪魔な幼なじみ




「え?」

思わず、聞き返した。

だって、あまりにも小さな声だったから。



「そんなに…ショックだった?」


「………………っ…」


「廉がキスされてるところを見るのは…ショックだった…?」


「……竜馬くん?」


「泣いちゃうくらい…ショックだった…?」


「…どうしたの?竜馬くん」


やっとの思いでそう聞くと


「あ…いや、ごめんね?雫ちゃん」


竜馬くんがふっと顔を上げて微笑む。


その笑顔は切なげで。

口元は笑っているのに目の奥があまりにも寂しそうだった。



「……竜馬くん?」


「…じゃ、じゃあ部活頑張ってね、雫ちゃん」


曖昧に微笑んだ竜馬くんはそう言ってあたしの横を歩いて行ってしまう。



……もう、分かんないよ。


岡崎先輩にやすやすとキスされちゃう廉も、


あんなふうに悲しげに笑う竜馬くんも。




あたしは…どうすればいいの――……













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