小悪魔な幼なじみ
初めてのkiss
――――――……………
◆Side 廉◆
この頃(小学4年)の雫はまだ、恋とか愛とかそんなもの、よく分かってなかった。
少なくとも、僕よりは全然分かってなかったんだ。
いつものように僕と雫は学校が終わって2人で遊ぶ約束をしていた。
「ね、雫。
僕、すごくいい場所知ってるんだ。
一緒に行かない?」
「すごくいい場所?
行くよ!もちろん!」
はしゃぐ雫と一緒に自転車に乗って目的の場所へ行く。
でも途中で
「ね、廉!
ちょっと待って!
ヘンなの!自転車がヘンなの!」
雫がそう叫んで。
僕は自転車を止めて雫のもとへ駆け寄った。
「……パンク、してるよ」
自転車の前輪のタイヤがみごとに潰れてる。
前に僕の自転車もこうなったとき、お父さんが言ってたんだ。
『こりゃあパンクだなぁ…まいった、まいった』
って。