小悪魔な幼なじみ
1人で帰るなんてことは珍しくて。
少し、新鮮な気分だった。
あぁ…今日もいい天気だったなぁ…
今日の給食は…おいしかったなぁ…
そんなことを考えていると
「…………雫」
呼び止められて。
あたしは振り向かずに言った。
「部活の最中に抜け出しちゃダメだよ、廉」
震えそうになる声を必死で殺した。
「抜け出してなんていないよ。
ちゃんと…顧問から許可取ってきた」
いつも通りの廉の声があの告白シーンを思い出させて。
胸がぎゅっと痛くなった。
「1人で帰れるから大丈夫」
「無理すんなよ」
「無理なんてしてない…っ」
事実、カラダはどこも悪くなんてないんだから。
無理しているとしたら…それは、涙を堪えていることだけ。
「雫がなんと言おうと家まで送って行くよ」
廉が近づいて来るのが分かる。
あたしは振り向いて言った。
「1人で帰りたいの…!
廉となんて…一緒に帰りたくないの…っ!!」