小悪魔な幼なじみ




「……………雫…」


廉はそう呟いたきり、俯いてしまう。

その顔は傷ついたように暗く。

心が痛んだ。



でもあたしはそんな廉をおいて走り出した。


あんな顔…させるつもりじゃなかった。

廉には…いつものように笑っていてほしかったのに…


あたしってば…ホントに何やってるんだろ…っ…

急に涙が溢れてきて。

走ることをやめた。


あたし…泣いてばっかり…

そう思ったところで涙は止まらない。


さっきの言葉に後悔していると

頭に廉と岡崎先輩のキスシーンが浮かんだ。


そしてこの胸の痛みを堪えられなくて。

しゃがみ込んだ。



あたし…こんなにも…廉のこと、スキだったのかなぁ…


廉がモテてることは知ってた。

でも1度だって告白されてるところを見たことはなくて。


ああやって目の前で告白されてるところを見て。

キスなんてされちゃって。


ただ、ただそれだけのことにこんなにも傷ついて。


自分で思ってるよりずっと…廉のことがスキだったみたい。








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