小悪魔な幼なじみ

10日





「あれ?雫、今日は早いんだね」


「ちょっと…学校に宿題忘れちゃって」


次の日の朝。

いつもより20分早く起きて、リビングへ行く。



「そう?目、これで冷やしたら?」

お母さんはそう言って冷凍庫から保冷剤を出すといつものように笑う。


「あ、ありがとう…」

保冷剤をあたしに渡したお母さんは朝食の準備を再開。



「お、お母さん…?」


「ん?どうしたの?」


「理由…聞かないの?」


絶対に聞かれると思ったのに。

こんなにも目が腫れぼったくなってしまった理由を。



「ん?聞いてほしかった?」

そう言ってお母さんは悪戯っ子のように笑う。


「え…そういうワケじゃないけど…」


もしかしたら、お母さんに相談したかったのかもしれない。

自分でもよく分かんないけど。


「そりゃあね?心配よ。

娘が泣きすぎてそんな目になっちゃったんだから。


でも、雫も言いたくないこととかある年頃でしょ?

だからお母さんは自分から聞かない。


ま、でも雫が話してくれることはちゃんと、聞くけどね?」


お母さんは手元から顔を上げると微笑んだ。



「……そっか。分かった」


あたし…お母さんの娘で良かったよ。

今、心の底からそう思った。







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