小悪魔な幼なじみ
「ね!雫!そう言えばなんだけどさ」
「ん?どうしたの?」
梢が顔を近づける。
「昨日、帰るときにたまたま聞いちゃったんだけど、
廉くん…岡崎先輩に告られたらしいじゃん」
ニヤニヤと笑う梢。
そして隣から心配そうな視線を送る竜馬くん。
胸の痛みはなくなっていたのに梢の言葉でまた、ズキズキと痛んだ。
「へ~…そうなんだ」
そう答えるのがやっとだった。
「なんかね、廊下歩いてたらさ、岡崎先輩と他の先輩が喋ってて。
それをたまたま聞いちゃったんだけど、岡崎先輩言ってたんだよね。
あたし、廉くんにフラれちゃった~
あんだけ顔いいのに、考えがカタイんだもん。
ホントもったいないことしてるよ
って。
ヒドイよね、岡崎先輩。
廉くんのことただの遊びで口説こうとしてたなんて。」
「……そうだね」
梢の話を聞くんじゃなかった。
だって、まだ廉のことを本気でスキで告白していたなら、
本気で好きでキスをしたなら
まだ…まだ我慢することはできた。
なのに遊びだったなんて。
この胸の痛みを表に出さないように必死で笑っていた。