小悪魔な幼なじみ




「やっぱり…俺たちは…近すぎるからダメなのかもな…」


廉が「ド」の鍵盤に指を置く。



「近すぎて…見えないんだ」


「……廉?」


なんでだろう。

俯いた廉の横顔があまりに悲しそうで胸が苦しくなった。




「……俺はこんなに想ってるのに…まだ全然雫に伝わってない」


胸のドキドキの速さが尋常じゃないくらい速くなった。



「そんなに…音無がいい?」


「誰も…そんなこと言ってないじゃん」


廉が立ち上がった。

そして1歩前に出るとあたしを抱きしめる。



………え?


「……ちょっ…廉?!」


なんで?!

なんで今の流れでこうなるの?!

全然意味が分かんないんですけどっ!!



「言葉で表すより…このほうが伝わるかなぁ…って思うんだけど」


……ってさ!廉!

そんな冷静に言ってるけど…!

あたしに何を伝えたいのか。

あたしにはさっぱり分かりません!!








< 149 / 215 >

この作品をシェア

pagetop