小悪魔な幼なじみ
「やっぱり…俺たちは…近すぎるからダメなのかもな…」
廉が「ド」の鍵盤に指を置く。
「近すぎて…見えないんだ」
「……廉?」
なんでだろう。
俯いた廉の横顔があまりに悲しそうで胸が苦しくなった。
「……俺はこんなに想ってるのに…まだ全然雫に伝わってない」
胸のドキドキの速さが尋常じゃないくらい速くなった。
「そんなに…音無がいい?」
「誰も…そんなこと言ってないじゃん」
廉が立ち上がった。
そして1歩前に出るとあたしを抱きしめる。
………え?
「……ちょっ…廉?!」
なんで?!
なんで今の流れでこうなるの?!
全然意味が分かんないんですけどっ!!
「言葉で表すより…このほうが伝わるかなぁ…って思うんだけど」
……ってさ!廉!
そんな冷静に言ってるけど…!
あたしに何を伝えたいのか。
あたしにはさっぱり分かりません!!