小悪魔な幼なじみ
「あたしには…あたしには、竜馬くんが何言ってるのか分かんないなぁ…」
そう言ってあはっと笑うあたし。
「誤魔化そうとしても無駄だよ。
俺、雫ちゃんの心の中、読めちゃうから」
竜馬くんはニヤッと笑う。
思わず胸を押さえた。
「そんなマジになんなくても。
冗談なのに」
竜馬くんは大笑い。
慌てて胸に当てた手を下ろした。
「とりあえずさ、俺に隠し事はなしね」
「え…そんなこと言われても…」
「まあさ、気軽に相談してよ!
男心は男にしか分かんないことだしね」
ふっと笑った竜馬くんは席を立った。
そしてどこかに行ってしまう。
あのね、竜馬くん。
男心は男にしか分からない、
って言うのはよく分かってる。
けどね、廉の場合は別だよ。
だってあたし…生まれてからずっと廉と一緒にいたんだよ?
だから廉の気持ちならきっと…あたしのほうがよく分かってる。
…多分、だけどね。
だから気持ちだけは受け取っておくよ。
ありがとね、竜馬くん。