小悪魔な幼なじみ
「…雫ちゃん」
6時間目が始まる直前。
他の面々が音楽室を出て行く中、竜馬くんがあたしを呼び止めた。
「ん?どうしたの?」
振り向くと神妙な面持ちの竜馬くん。
何か…あったんだろうか。
「ね…俺、ずっと雫ちゃんに言わなきゃいけないことが…あったんだ」
「え?何?」
廉と梢、彰のはしゃぐ声が遠くなっていく。
それを聞きながら竜馬くんの方に向き直った。
「俺…ずっと、廉がうらやましかった。
いつもいつも雫ちゃんと一緒にいて、
お互い、なんの気も遣うことなく、言い合って。
そういうの…すげぇうらやましかった」
「そんなうらやましいなんてものじゃないよ。
それに廉とは幼なじみだもん。
当たり前だよ」
そう答えると竜馬くんは首を振る。
「そういう意味じゃないんだ。
俺が言ってるのは、
廉は雫ちゃんに愛されてて、うらやましいな。
って意味」
え…?それ…どういうこと…?