小悪魔な幼なじみ





「…雫ちゃん」


6時間目が始まる直前。

他の面々が音楽室を出て行く中、竜馬くんがあたしを呼び止めた。



「ん?どうしたの?」


振り向くと神妙な面持ちの竜馬くん。

何か…あったんだろうか。



「ね…俺、ずっと雫ちゃんに言わなきゃいけないことが…あったんだ」


「え?何?」


廉と梢、彰のはしゃぐ声が遠くなっていく。

それを聞きながら竜馬くんの方に向き直った。



「俺…ずっと、廉がうらやましかった。


いつもいつも雫ちゃんと一緒にいて、

お互い、なんの気も遣うことなく、言い合って。


そういうの…すげぇうらやましかった」



「そんなうらやましいなんてものじゃないよ。

それに廉とは幼なじみだもん。


当たり前だよ」


そう答えると竜馬くんは首を振る。



「そういう意味じゃないんだ。


俺が言ってるのは、

廉は雫ちゃんに愛されてて、うらやましいな。


って意味」



え…?それ…どういうこと…?











< 173 / 215 >

この作品をシェア

pagetop