小悪魔な幼なじみ
「ねぇ…廉?」
一通り盛り上がったあと、疲れた僕たちはまた、芝生に寝転がる。
「真っ暗だけど…帰れるの?」
「…………分かんない」
あえて、分からないと答えたんだ。
雫を不安にさせないために。
僕だってバカじゃない。
どう考えたってこの暗闇じゃ帰れない。
あの長い階段に街灯はないし、
階段を下りれたところで雫の自転車はパンクしてるし、
残念なことにここから家まで歩いて帰れる距離でもない。
「じゃあ…どうやって帰るの?」
不安そうな雫の声。
不安なのは雫だけじゃない。
僕だって同じように不安だ。
でも僕は男の子。
女の子の前でカッコ悪い姿なんて見せられない。
だから必死で平気なフリをして答えた。
「誰かがきっと、僕たちのこと見つけてくれるよ。
それまで2人で待とう。
大丈夫だよ、雫。
絶対に誰かが見つけてくれる」