小悪魔な幼なじみ
僕が言った「誰か」はもちろんお父さんだ。
だってここに来ることをお父さんは知ってる。
きっと、家に帰って僕がいないことに気づいたら
この場所にいる、って一発で分かるはず。
………あ、でも今日…帰るの遅くなるって言ってたっけ…
そのことを思い出して身震いする。
お父さん…早く帰ってきてくれないかなぁ…
それで早く僕たちを見つけて。
明るいうちに帰るって約束、守れなかったけどもう1つの約束は必ず、守るから。
もう1つの約束とは
「何かあったときは雫ちゃんを守ってあげること」
廉は男の子だろ?
って。
男の子は女の子を守るのが使命なんだよ、ってお父さんが言ってた。
だから僕は雫を守ってみせるよ。
隣で泣きそうになっている雫の手を握った。
「僕がいるから大丈夫だよ、雫。
怖くなんてないからね」
本音を言えば、僕だって怖かった。
だけど2つの約束のうち2つともを破るのはダメでしょ?
だから、僕は雫を守る。
その代わり、お願いだよ、お父さん。
僕と雫を見つけて。