小悪魔な幼なじみ
「いい?雫。
ゆっくり目…閉じて」
あたしは素直に目を閉じるフリをする。
でもすぐに目を開けて
「もうそんな手に引っかからないよ」
と、言う。
「あれ?覚えてた?」
ふっと笑う廉。
悪気がない、ってところが廉らしい。
「忘れられるワケないでしょ…
前は怖くなくなるおまじない、だったはずだけど?」
そう。これはだいぶ前…
あたしが廉にファーストキスされたときの話だ。
怖くなくなるおまじない、
廉はそう言っていとも簡単にあたしのファーストキスを奪った。
「ホントは両方とも違うんだよ」
廉は笑って言う。
「怖くなくなるおまじないでも、
寒くなくなるおまじないでもないんだ。
これは…特別な魔法。
自分のことを好きになってもらう、とっておきの魔法なんだ」