小悪魔な幼なじみ
「……ねぇ…廉。
寒いよ…怖いよ…」
それからどれくらい経ったのか分からない。
もしかしたら10分も経ってないかもしれないし、
1時間経っていたかもしれない。
雫がいよいよ泣き出して。
僕は自分が着ていた上着を雫にかける。
「僕ね、怖くなくなるおまじない、知ってるんだよ」
ずっと頭の中で考えていたことを実行に移すことにした。
「怖くなくなるおまじない…?」
「うん。そう。
いい?雫。
ゆっくり目を閉じて」
もちろん、怖くなくなるおまじないなんてウソ。
そんなおまじない、見たことも聞いたこともない。
だけど、チャンスは今しかないんだ。
秋平おじさんの友達の海斗兄ちゃんに教えてもらった。
特別な魔法の話。
こんな状況で僕は何を考えているんだ、って思うかもしれないけど
でも僕はどうしても雫に好きになってもらいたいから。
こうでもしないと雫は一生僕の気持ちに気づいてくれない。
僕は海斗兄ちゃんの言葉を思い出しながらそっと、雫にキスをした。
海斗が廉に教えた「特別な魔法の話」とは
『キスってね?自分の好きな子に魔法をかけられるんだ。
自分を好きになってもらう、とっておきの魔法をね。』
◆Side 廉 終◆
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