小悪魔な幼なじみ
声の主はもちろん、お母さん。
思わずお父さんもあたしも動きを止めて顔を見合わせる。
「……わ、分かった…
旅行、行くよ…」
渋々、頷いたあたし。
でも、仕方ないんだ。
あの声じゃお母さん、相当怒ってるから。
怒ったお母さんはお父さんでも敵わないくらい怖い。
だから素直に従うのが最善の選択。
「雫、どうすんだよ。
お母さん、あんなに怒らせて…」
小声でお父さんが言う。
「どうする、って言われても困る!
お父さんが機嫌直してきてよ!」
「イヤだよ!
今の零には近づきたくない!」
小声でコソコソ言い合っていると
「姉ちゃんも父さんも、母さんにビビリ過ぎだよ」
と、部屋の前を通った優に笑われた。
くっそぉぉぉぉ!!
優、小4になってからずいぶん生意気になったわね…