小悪魔な幼なじみ
出発
なんだかんだ言いながら
「………はぁ…」
「雫!楽しい旅行の出発前に溜め息つくなよ」
「うるさいなぁ…お父さん」
結局、旅行に行くことになってしまった。
「零ちゃん!朝倉先生!
お待たせでーす!」
うちの前で待っていると光さんがやって来た。
やって来た、というような距離でもないんだけど。
なんせ、うちと水谷家の家は1軒挟んだご近所さんだから。
「俺、向こうの車乗るから!」
優はそう言って水谷家の前に止まっている車へ走って行く。
「じゃあ…あたし、優くんの代わりにこっちの車、乗っちゃおうかな」
光さんが呟くと
「どうぞ、どうぞ」
と、お父さんがドアを開ける。
よし、あたしは自分ちの車に乗ろう。
大人の中にまじってやる。
優の相手なんてしたくないし、
何より廉と同じ車はイヤだからね。