小悪魔な幼なじみ





「ホント、雫ってば贅沢」


そう呆れた顔して言うのは梢(コズエ)だ。

鈴木 梢(スズキ コズエ)

あたしの大親友。


小学校のときからの仲。



「でもホントに廉、意地悪ばっかりでイヤなんだもん!」


幼なじみがもっと優しくて、爽やかで、廉よりカッコ良ければ良かったのに、そう言うと梢はあたしが贅沢だ、って言うんだ。



「どこが?

ほら、見てみなよ。


あの笑顔のどこに意地悪が隠れてる?」


梢はそう言って教室の入り口付近で女の子に囲まれている廉を指さす。



「今は…!

その…アレだよ!


あの廉は偽物なの!」


そう。

学校での廉は廉であって、廉じゃない。



「意味分かんない。


さっき、雫言ったよね?

優しくて、爽やかで、カッコ良くて、って。


廉くん以上にそれに当てはまる子なんていないと思うけど?」


梢は何にも分かってないんだ。

廉が本当はどんなヤツなのか、って。


それに廉は廉で、絶対本当の自分を他の人には見せない。

だから梢だって廉が優しいって勘違いするんだから。








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