小悪魔な幼なじみ
ねぇ…廉?
おかしいよ。
どうして、本人に言う前にお父さんに言うの?
しかも…こんなカタチでプロポーズなんてされたくない。
「べ、別に俺はいいよ?
むしろ廉くんが旦那さんになってくれるなら安心だ。
でも…やっぱり雫のキモチが…なぁ?」
お父さんの声があまりにも焦っていて面白かった。
でも、笑ってる場合じゃない。
「分かってます。
まだ、時間がかかるかもしれない。
だけど俺は必ず、雫にスキって言わせてみせる。
それで絶対に俺の奥さんになってもらうんです」
バシャ、と音がしてドアが開く音が聞こえた。
お父さんか廉が出て行ったんだ。
「…………雫?雫、いるんだろ?」
そろそろ上がろうかと思い、
立ち上がったところで、男湯からお父さんの声が聞こえた。
「……何?」
「全部…聞いてた?」
「……………聞きたくなかったけどね」
あたしはまた、湯船につかった。
「廉くん…ああ言ってるけど雫はどうなんだ?」
ってかさ、お父さん。
聞かないであげるけど。
なんで…あたしがいることに気づいたの?