心の色
タケシの母、ユウコも
このHIVに
感染していたのですが、
タケシを出産する時、
感染している事に
気付いていなかった事が災いし、
感染に対する
何の処置もされず、
生まれたタケシも、
ユウコの感染を受け継ぎ
HIVに感染してしまったのです。
タケシは、ここ数日、
特に、体調が優れない事に気付いていました。
“もしや、エイズに発症したのでは…”
そんな嫌な予感が
タケシの脳裏をよぎっていました。
無症候期と言われる潜伏期間は、
五年から十年と言われています。
だとすれば、
今年二十歳になるタケシが、
いつエイズに
発症してもおかしくはないのです。
この五年間、
まともに外に出る事も無く、
引きこもりと
なっているタケシには、
人生にむなしさしかありません。
引きこもりになったのも、
エイズに対する世間からの
偏見からなのです。
無症候期は、
特に日常生活に支障は無く、
注意すれば人に
感染させる事はないのですが、
タケシが通ってきた、
小学校、中学校、高校共に、
周りから差別を
受けて来ました。
「ごめん、用事思い出したの、
私ちょっと抜けるね。」
タケシが近寄ると、
遠回しに避けて行く者、
「おいっ、ベタベタ触るなよっ。」
と、あからさまに避ける者、
果ては、先生までもが、
「タケシ君は体調が
悪いんだから、
あんまり遊ばないように。」
と、タケシの体調を
気遣う言い方をしておき、
実は、人にうつる
心配をしている始末です。
高二の夏休みから、
タケシは、
パタリと外に
出なくなりました。
もう限界だったのです。
それでも今まで
我慢し続けてきたのです。
もう人に会いたくない、
人と接したくない、
その溜まりに溜まった気持ちを
抑えられなくなったのです。
それから丸三年、
一歩も外に出ず、
一緒に住む祖母の
カズヨ以外とは誰とも接しない、
孤独な日々が
続いていました。
このHIVに
感染していたのですが、
タケシを出産する時、
感染している事に
気付いていなかった事が災いし、
感染に対する
何の処置もされず、
生まれたタケシも、
ユウコの感染を受け継ぎ
HIVに感染してしまったのです。
タケシは、ここ数日、
特に、体調が優れない事に気付いていました。
“もしや、エイズに発症したのでは…”
そんな嫌な予感が
タケシの脳裏をよぎっていました。
無症候期と言われる潜伏期間は、
五年から十年と言われています。
だとすれば、
今年二十歳になるタケシが、
いつエイズに
発症してもおかしくはないのです。
この五年間、
まともに外に出る事も無く、
引きこもりと
なっているタケシには、
人生にむなしさしかありません。
引きこもりになったのも、
エイズに対する世間からの
偏見からなのです。
無症候期は、
特に日常生活に支障は無く、
注意すれば人に
感染させる事はないのですが、
タケシが通ってきた、
小学校、中学校、高校共に、
周りから差別を
受けて来ました。
「ごめん、用事思い出したの、
私ちょっと抜けるね。」
タケシが近寄ると、
遠回しに避けて行く者、
「おいっ、ベタベタ触るなよっ。」
と、あからさまに避ける者、
果ては、先生までもが、
「タケシ君は体調が
悪いんだから、
あんまり遊ばないように。」
と、タケシの体調を
気遣う言い方をしておき、
実は、人にうつる
心配をしている始末です。
高二の夏休みから、
タケシは、
パタリと外に
出なくなりました。
もう限界だったのです。
それでも今まで
我慢し続けてきたのです。
もう人に会いたくない、
人と接したくない、
その溜まりに溜まった気持ちを
抑えられなくなったのです。
それから丸三年、
一歩も外に出ず、
一緒に住む祖母の
カズヨ以外とは誰とも接しない、
孤独な日々が
続いていました。