秘密の誘惑
萌の机に腰をかけ書類を手にしているディーンに萌の心臓が高鳴る。


でもこの気持ちと仕事を切り離さなければ。


萌は大きく首を横に振った。


「支社長、柏木さんに頼まれたんです 言われたとおり、明日の朝までにやりますから」


ディーンの手から書類を取り上げてパソコンに向かう。


「萌・・・」


「支社長はお帰り下さい」



パソコンの画面を見ながらそっけなく言う。



強情なお嬢ちゃんだな。


ディーンはわき目も振らずパソコンの画面を見入っている萌に苦笑いを浮かべた。



カタカタとキーボードを入力しているとディーンが机から離れたのが分かった。



見ちゃダメ。


萌は集中しようとしていた、だけど意識はディーンに持っていかれる。


ドアがパタンと静かに閉まった。


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