秘密の誘惑
夕方、ディーンと裕美が戻ってきた。


「お帰りなさいませ」



萌は立ち上がると頭を下げて出迎えた。


ディーンは頷いただけで支社長室へ入って行った。



だが裕美は萌の机の上に置かれている物を見て顔をしかめた。


「萌さん、また痛むのね?」


机の上の胃薬の瓶を手にする。


あ・・・出しっぱなしだった。


しまうのを忘れていた。



「明日、病院へ行きなさい」



大きな胃薬の瓶の中身はあと数錠しかない。



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