秘密の誘惑

元妻

その日から3週間もあたしはディーンに会えなかった。



毎日、メールや電話で話をするけど、それだけでは寂しさは拭えない。



まだ帰れないの?なんて口が裂けても言えない。



ディーンは向こうで大変な激務中らしいから。



カーティスさんが時々、ディーンの代わりに連絡してくれるので向こうの様子が少し分かった。



* * * * * *



ディーンは大きな黒革のイスの背もたれに身体を預けた。



そして目頭を指で押さえる。



パソコンの見過ぎで目が痛む。



スッとディーンの前に湯気のたった蒸しタオルが差し出される。



「ありがとう カーティス」



ディーンはそれを受け取り目に蒸しタオルを乗せた。


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