秘密の誘惑
執務室の重厚なドアを叩く音が聞こえ、ディーンは物思いから覚めた。


カーティスが出て対応している。



「ディーンはいるんでしょう？」



少しハスキーな声の持ち主。



ディーンはカーティスを押し退けて入って来た元妻の顔を見てうんざりした表情になった。



その顔に気が付かないのかにっこりと少し厚めの唇に笑みを張り付かせて机を回って目の前にやって来た。



「ディーン、お久しぶりね」



イスに座っているディーンの首に細い腕が巻きついた。



そして唇にグロスがたっぷりついた唇で触れる。



強いムスク系の香りが鼻につきディーンは渋い顔になった。


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