秘密の誘惑
藤田家のリビングのソファーで萌は膝を抱えてテレビを見ていた。


実際はテレビに気持ちが入っているわけでもなく、ぼんやりと考え事をしていた。



もちろん考える事はディーンの事。



「萌っ!」



姉の声に驚いて膝を抱えていた手が緩み、床に足が着いた。



「日菜ちゃんっ!いやだ ビックリさせないでよっ」



「何回も呼んだのよ?でも全然気づいてくれないんだから」



「あ・・・ごめん」


少々ぼうっとしていたのは分かっている。



「ディーンさんに早く会いたいって顔している」



日菜が萌の隣にポスンと腰を下ろす。



「えっ?え・・・日菜ちゃんたら・・・」



冷やかされて萌の頬がポッと赤くなる。


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