秘密の誘惑
「いつ頃帰ってくるの？こんなに長い出張だなんて会社も困っているんじゃないの？」



「そうみたい　優秀な人材がいるとは言ってもやっぱりディーンの最終決断が必要だったりしてアメリカとのやり取りで大変みたい」



３日前に裕美から体の具合を聞く電話をもらいそんな事を言っていた。



萌の表情が暗くなってしまったのを見て違う話題に変えた日菜だった。



「今日はお母さん、お出かけ？」



「家元から呼ばれて本家へ行っているの　ついでにあたしの婚約の事も報告するって」



「きっと夕食も頂いて帰ってくるね　じゃあ、あたしが胃に優しいご飯を作ってあげるね」



日菜が言う。



「千波兄は今日もいないの？」



「そうなの、また出張」


一人であの広いマンションに居るのが嫌でつい実家に帰って来てしまう日菜だった。



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