秘密の誘惑
「ママたちはまだ知らないの　昨日病院に行って知ったから　今夜、千波くんと報告に行こうねって」


左の薬指にはまる指輪をくるくる回しながら照れたように日菜は言った。



「すごく喜ぶよ　こんな所でお茶している場合じゃないよ　家で休んでいなきゃ」



「萌、妊娠は病気じゃないんだから大丈夫だよ」


真剣に言う萌に苦笑いを浮かべながら言う。



「でも、念には念をね？送っていこうか？」



「大丈夫　千波くんが――」


その時、テーブルに影が落ちた。



「千波くんっ♪」


細かいピンクのストライプの入ったグレーのスーツ姿の千波が愛妻に向かって優しい笑みを浮かべた。


相変わらず日菜ちゃんにはデレデレなんだよね。



そんな２人を見て萌はクスッと笑った。



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