秘密の誘惑
「ディーン!」


目に飛び込んできたのは、ネクタイを緩めたディーン。



萌はガバッと起き上がった。



起き上がる萌をディーンは微動だにせずじっと見ていた。



「ディーン?」



ディーンはかすかに濡れた指を自分の口元に持っていく。



涙だとディーンは確信した。



「何かあったのか?」


「えっ?」



寝るまで泣いていた事を思い出して、手が自然と顔に行く。



その手をディーンが押さえる。



「萌、正直に話してくれ」


「ど、どうしてそう思うの?」



「食事に手をつけていないし、目が赤い、泣いていたんだろう?」



探るような眼差しに萌は話す決心をした。





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