秘密の誘惑
数時間後、ディーンはニューヨークに行かなければならなくなった。


心筋梗塞を患っていた叔父が肺炎を併発して亡くなったのだ。



「夕方に本社から自家用機が到着します」



突然の訃報にカーティスが今後1週間のスケジュール調整に追われる。



ディーンは萌に電話をかけた。



もう自宅へ戻っているだろうか。



携帯電話にかけるとすぐに萌は出た。



『ディーン、どうかした?』



今はお昼前で仕事中のはずなのに。



「萌、叔父が亡くなってね 夕方に発つよ」



『ええっ!!叔父様が!?』



ディーンの秘書をしていたからディーンの叔父がどんな立場かは知っている。



「健康面に気をつけて なるべく早く戻ってくる」



早口なのはやらなければならない事が多いせいだろう。



『ディーン、あたしも行ってはダメ?』



「体調が悪いんだ 無理はして欲しくない ゆっくり休んでいる事 いいね?」



そう言うと電話が切れた。



『ディーン・・・・・・』



婚約者なのに親族の葬儀に参列できないの?



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