秘密の誘惑
こんな状態で食べられるはずがなかった。


喉にサンドイッチが通っていかない。



ホットミルクだけを飲み干して萌はベッドに横になった。



手には携帯電話を握り締めて。



ディーンからの連絡を待つしかない。



彼女の言った事は嘘だと言ってくれるよね?バカバカしいって言ってくれるよね?



そう思いながら眠りに落ちた。





萌は夢を見ていた。


ディーンが黒髪の赤ちゃんを抱いて嬉しそうにあやしている。


あたしとディーンの赤ちゃん。


萌も幸せそうにディーンの隣で笑っている。


とても幸せそうな夢だ。


だが、その幸せそうな光景は一転してなぜか赤ちゃんはタマラが抱いていた。


その隣には2人に優しい笑みを向けたディーンがいる。


「ディーン?」


ディーンを呼ぶが萌に気づいてはくれない。


愛しそうに赤ちゃんとタマラを見ているのだ。


「い、いやっ!あたしの赤ちゃんっ!ディーン!」


いくら叫んでもディーンは見向きもしなかった。


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