秘密の誘惑

励まされて

* * * * * *



「萌、あまり食べなかったね?」



夕食が終わった後、萌はすぐに部屋に戻った。



心配した日菜は部屋まで追ってきたのだ。



「まだ胃がおかしいの」



ベッドの上に腰をかけると疲れたように指をこめかみに持っていく。



「胃だけじゃないでしょ?萌の食欲がないのは」



日菜も萌の隣に腰をかけると真剣な顔をして言う。



「・・・・・・」


「萌、話してみて?何か力に慣れるかもしれないよ?」


日菜の手が萌の手に重なる。



「日菜ちゃん・・・・・・」



姉の顔を見たら涙腺が目を刺激した。



瞳がうるうると潤んできて頬に涙が伝う。



「萌!?どうしちゃったの?」



驚いた日菜は萌の身体に腕を回し抱きしめる。



「日菜ちゃ~ん」



子供のように泣きじゃくる萌に日菜は驚いた。



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