秘密の誘惑
『はい?カーティスです』


まるで機械のような声に萌は一瞬言葉を失った。



「あ、あの カーティスさん」


『萌様 どうしたのですか?』


「ニューヨークにいるんです ディーンはそこにいますか?」


『いいえ ここにはおりません 会議中で今は出る事ができません お伝えしておきましょう』


硬い言葉に萌は不安になった。



「どのくらいで・・・?ディーンは?」


そう聞くと電話の向こうから大げさなため息が聞こえてきた。


『萌様、今ディーン様が大変ご多忙なのはお分かりにならないのですか?なぜ日本で大人しく待っておられないのですか?』



大人が子供を叱るような口調で言われて萌はビクッとなった。



「・・・・・・わ、わかりました 時間が空いたらでかまわないので電話が欲しいと伝えてください」



萌は落胆して電話を切った。



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