秘密の誘惑
自分の取っていた部屋に行くものと思っていた萌はディーンが押した階を見て仰ぎ見た。



ディーンは唇を萌に耳元に近づけた。



「あの部屋は2人だと狭いからね 荷物は移動してある」



そう言って耳たぶを甘噛みする。



「っ!あ」



甘い感覚が身体の中を走った時、不意にエレベーターが止まり開いた。



乗って来たのは日本人の男女。



ハネムーンのようだ。



まるで抱き合っているかのような2人を見て、カップルは視線を反らした。



萌は恥ずかしくて花束に顔を埋めた。



エレベーターは動き出し、カップルが7階で降りるまで息を潜めるといった感じだった。



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