秘密の誘惑
「花屋の女性の子供が事故にあって――」


仕事を放り出して行ってしまった。と困った顔でフロントの女性がキャメロンに言っているのが聞こえた。



「ディーン、まだ時間ある?」


ディーンは腕をクイッと伸ばし、腕時計を見た。


「20分くらいなら」


「あたしにやらせてもらえるようにお願いして欲しいの」


「わかった」



萌はジャケットを脱ぐと、花に近づいた。



キャメロンも近づき、心配そうに見ている。


あの花屋の女性は有名なフラワーデザイナーらしい。


萌が美しく活けられるか心配らしい。


ディーンの手前、許可したのだが。


20分しかないのはかなりきつかった。


花は100本以上あって、しかも色がたくさんある。


萌は集中して花を活け始めた。



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