秘密の誘惑

手当て

「し、支社長 大丈夫ですから」


起き上がろうとするとディーンの手が肩を押す。



「萌、捻挫は癖になるんだ すぐに医務室へ行けばよかったのに」


じゃあ、いますぐ医務室へ行きます。
そう言いたかった。


電話で誰かに命令をし、その人は迷惑だと思っているの違いない。


せっかく用意してくれているのに、医務室へはいけない。



大理石のテーブルに腰を軽くかけたディーンは萌が起き上がらないか黙って見つめている。


潤んだ瞳を見ていると目蓋にキスをしたくなる。


上唇のすぐ横にあるほくろを見ているとそこに舌を這わせたいと思ってしまう。


ディーンは久しぶりに感じる欲望に目の冷める思いだった。



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