秘密の誘惑
* * * * * *


ドアが叩かれた。


その音に萌はビクッとして起き上がろうとしたが、再び横にならされてしまう。


ディーンが楽しんでいるような表情を萌に向けながら


「入れ」


と言った。



「失礼します」



裕美がコーヒーの乗ったトレーと、彼女の後からバケツと救急箱を持った女性が入って来た。



ソファに横になっている萌を見て足が一瞬止まった。



平静を装い一礼するとテーブルにカップを置いていく。


「ディーン、バケツはどこに?」


萌をチラッと見てそう言い、ディーンの指示通り萌の近くに置くと出て行った。



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