純情恋心

不意に思い出した。

高遠先輩との事でいっぱいいっぱいで、うっかり忘れそうだったけど……今日千歳と、ケンカした。

あれをケンカと言うのかは正直微妙なところかも知れないけど、あんな風に別れてしまったのは事実。

謝るべきなのかな、……でも悪いのはあたし?

今日の千歳はなんだか少し変だった、いつもはあたしの事を応援してくれるのに、どうしてあんな事を言ったの?

あたしが高遠先輩から離れられないって事くらい、千歳だってわかっていると思っていたのに……。

真意を確かめたい、千歳と話せないのは辛い……でもどうすればいいのかな?

明日教室で会うのに気まずいままなんて嫌だけど、でも今から会うのにはちょっと時間が遅すぎる……。

だからと言って電話でどうにかなるようにも思えない、……第一、電話で済ませるのはあたしが嫌。

でも会うにも突然なんて失礼だし、メールはやり取りに時間がかかって面倒、本題に入る前にどちらかが寝てしまうかも知れない。

だったらやっぱり電話をするしかない……でも千歳は、あたしが電話をしたら出てくれるかな?

今日の事で怒って、電話をしても無視されてしまうかも知れない……高遠先輩のように、着信拒否しているかも知れない。

……そういえば高遠先輩、今もまだあたしを拒否設定しているのかな?

今日お互いの気持ちを知って、少しでも未来が明るくなった気がするから……もしかしたら、もう大丈夫かも……?

不意にそう思ったあたしは、なぜか迷いもなく高遠先輩へ電話をかけていた。

リダイヤルから高遠先輩の名前を選択して、通話ボタンを押す。

《プルルルル……》

すると携帯から、高遠先輩を呼び出す音が聞こえてきた。

繋がった……!

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