純情恋心

『……そうだ那智、お友達は？』

「……あ……」

『あ、って……もしかして忘れてた？』

「そうでした……っ、どうしよう、連絡してない……！」

そういえば携帯を出そうとした時に、高遠先輩に話しかけられてそのままだった……どうしよう……っ。

『とりあえず連絡入れてみたら？』

「あ、はい……っ」

促されて、あたしはスカートのポケットから携帯を取り出して開いた。

「……あれ？」

『どうしたの？』

「ぃ、いえ……」

携帯を開いて見ると、千歳から何度か着信があった事がわかった。

それと一緒にメールも受信していたから、あたしはそのメールを開いた。

それは千歳からのメールで、その内容を目にしたあたしは思わず携帯を無意味に近付けて見た。

内容を読んで、あたしは愕然とする。

《なんか邪魔したら悪い
　ような雰囲気だったから
　先に帰ってるねーっ》

邪魔したらって……千歳は何を見たの……!?

『……那智？』

あたしがメール画面を見て固まっていたからか、高遠先輩はあたしの携帯を覗き込んできた。

だけどこんな内容を見られたら、また何かされかねないと思って、あたしは携帯を瞬時に閉じる。

『ど、どうしたの？』

「えっと……あの、なんか友達、帰っちゃったみたいで……」

『帰っちゃった？』

「は、はい……」

あたしがそう言うと、高遠先輩は顎に拳をあてて『ふーん……』と言いながらあたしを見た。

それが何か企んでいるように見えて、あたしは少し怯む。

『……何？』

「ぅえっ、な、何でもないです……っ」

『ふ……、そう』

あたしの様子を楽しむような高遠先輩の態度に、あたしは少しムッとした。

『……何』

だけどそうやって問い詰められると、やっぱり勝てなくて……あたしは顔を俯かせる。