純情恋心

 * * *

……何で……。

――その日のお昼休み、早速高遠先輩から連絡が入った。

校内だから電話ではなくてメールだったんだけど、その内容にあたしは唖然としてしまった。

《今日の帰り
 ちょっと買い物に
 付き合って
 欲しいんだけど》

あたし、高遠先輩の何なんだろう……。

『……那智?』

携帯を見て固まるあたしに、合わせた机の向かいに座る千歳が、サラダスパゲッティを食べながら疑問の表情を向けた。

『どうしたの? ていうかご飯食べながら携帯いじるなんて、お行儀が悪いわよ』

「ご、ごめん……」

『んーん、それよりどうしたのよ?』

「別に何でもないよっ、ごめんね……っ」

あたしはなるべく千歳と目を合わせないようにして、お弁当箱に目を落とした。

『……怪しいわね……』


そんなあたしを、千歳は箸を置いて顎に拳をあててじっと見つめた。

目は合わせていないけど、視線をものすごく感じる。

あたしは絶対に目を合わすまいと、下を向いて黙々とお弁当を食べ続けた。

『あたしを見ようとしないあたり、余計に怪しい』

そう言うと千歳はあたしの顔を覗き込んだ。

「な、何……っ」

『どうして那智はさ、高遠先輩との事話してくれないの?』

「……え?」

思いもしなかった問いかけに、あたしは箸を止めて千歳を見た。

『いつの間にか彼女になってるしさぁ……。こんなの初めてだよね、那智があたしに何も言わないなんて……』

そう言いながら、千歳は視線を落とした。

……たしかにあたしは、今まで千歳に隠し事なんてした事なかった。

とは言ってもあたしは好きな人なんて出来た事がないから、どれもたいした事ではなかったけど。

でもやっぱり千歳も、そういうの気にするんだ……。

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