純情恋心

 * * *

《今日はごめんね?》

その日の夜、高遠先輩からそうメールが来た。

わざわざメールをくれるなんて、意外と律儀な人……。

こういう些細な事にも、あたしの気持ちは揺らぐのに……それが本当の優しさなのか、偽りなのかがわからない。

どうして高遠先輩は、あたしを選んだんだろう……。

あたしが元カノと似てるとか?

それならつじつまが合う気がするけど……そんなの、あたしは認めたくない。

“元カノの代わり”だなんて、嫌だよ……。

《♪♪〜♪……》

不意に流れたメール着信音、あたしは受信したメールを開いた。

《今から会えないかな?》

え……?

あたし、まだ返信していないのに……。

受信したのは、高遠先輩からのその言葉。

返信をしていないのにまたメールが来て、しかも今から会えないかなんて……さすがに急すぎる。

《ごめんなさい、
 今からは無理です……》

そう返信して、あたしはベッドに体を沈めた。

横になりうずくまって膝を抱え、開いたままの携帯を見つめる。

今から会うなんて無理だし、それになんだか今は会うのが辛いと言うか……

《♪♪〜♪……》

意外と早い返信。

少し驚きながら開いたメールに、その返信内容に。

あたしは勢いよく体を起こした。

《今那智の最寄りの駅に
 来て居るんだけど。
 それでもだめかな?》

あたしの最寄りの駅って……え、何で!?

ていうかだって今、もう21時なのに……!!

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