純情恋心

驚きと戸惑いで焦っていると、すぐにまたメールを受信して……

《ごめん冗談、帰るよ。
 特に用はなかったんだ。

 明日は帰り待っていて?
 今日のお詫びに何か
 ご馳走するから。

 じゃあ、おやすみ》

どうして高遠先輩は、いつもこうなんだろう……。

あたしをからかって楽しんで、だけど甘えさせて。

それでも最後には、冷たく突き離す。

……多分あたしは、また突き離される。

だからなるべく甘えさせないで欲しいのに、それでも優しくされてしまうと、あたしは甘えたくなってしまう……。

《わかりました、
 教室で待ってますね。

 おやすみなさい》

返信をしてから、あたしはしばらくは何も出来なかった。

ただ高遠先輩からのメールを見つめては、少しだけ胸をときめかせて。

だけどこの先の事を勘繰ってしまうと、どうしても怖くて……。

――いつか突き離すつもりなら、優しくしないで欲しい。

優しくされればされるほど、その時が来てしまった時に、辛くなるから……。

だから高遠先輩……、今からでも遅くないです。

どうかあたしを、少しずつ遠ざけて下さい……。

あたしが、元カノを忘れられないままのあなたの傍にいる事に、本当に辛くなる前に――……。

< 64 / 184 >

この作品をシェア

pagetop