純情恋心

『ごめんね、無理矢理変な事したり、たくさん傷付けたり……辛い思いをさせて、本当に悪かった』

離れられて、近付こうとするあたしを哀しげな瞳で見つめながら、高遠先輩は来るなと言うように視線で諭す。

『もう俺の事は忘れて？　……君は俺を好きだと言ったけど、それは勘違いだ』

「っ、違う……あたしはっ、本当に先輩が……」

『頼むから……！　……忘れてくれ、俺は君に好きになってもらえるような人間じゃない……』

――以前にも、似たような事を言われた。

“俺は君が思っているような人間じゃない”

そんな事ない……、たしかに高遠先輩はあたしを傷付けたりした。

でも、それでも高遠先輩は優しかった……、あの優しさは偽りなんかじゃない、本当に心からの優しさだった……。

だから――……

「忘れる事なんて、出来ません……っ！　好きになったのはあたしの勝手です……、それを先輩にとやかく言われる筋合いはないです……!!」

あたしを突き離そうとする高遠先輩に、あたしは真っ直ぐに想いをぶつけた。

もう迷わない……あたしは高遠先輩から、離れたりしない……。

傷付く事を恐れていたら、前には進めないから。


――貴方の真実、辿る答え


求めた真実はあまりにも残酷だったけど、それでもあたしはいい。

揺らぎないものになった想いが、きっといつか貴方に届くと……信じているから。