脳内ハッカー
真瑠が言うと、父は新聞のある紙面を出したまんま渡してきた。
『……え?』
「…………。」
そして真瑠に渡すと、そのまま何も言わずに洗面所に向かってしまった。
『……。』
成る程、説明は面倒くさいのか。そう思って真瑠は顔をしかめたが、渡されて読まないのも何だからざっと目を通した。
紙面には一面ではないが、結構大きめに例の彼が記載されていた。
―釈迦如来帝―
世界最高の頭脳を持った17歳。アメリカ在住の日本人。飛び級を重ね、僅か10歳にして有名大学を卒業。最近ではその天才的な頭脳を活かし、未解決事件の解決や、新しい元素の発見、治療法が無いとされた病気の治療薬の開発に成功…etc…と、輝かしい実績を誇る。その頭脳は某アメリカの有名宇宙航空会社の全てのコンピューターシステムをハッキングできる程だと言われている。正に神の子と呼ばれても可笑しくない、奇跡の天才……――
『……へえー、』
思っていた以上に、その釈迦如来帝という人物は凄い人なのだと今分かった。
「凄いわねえ~。」
気付いたら母もすぐ隣で真瑠と一緒に新聞を見ていた。
『(い、いつの間に。)そうだね、凄いね。』