‐あおい‐
その風貌はグロテスクだった.
体は若干腐っており、目玉が片方だけ糸を引いたように飛び出ている.
まるで箸からこぼれ落ちる納豆のように.
服装からすると、ところところ引きちぎられているが、警官のようだ.
性別はギリギリ男だと見当がつく.
青色であるはずの警官服が真っ赤に染まっている.
「・・・うっ」
瀬戸は吐き気を催した.
初めて見る死体.それも、酷い姿.
警官の右手にはかたく握りしめられた拳銃があった.
「非常時のためだ・・・」
瀬戸は警官の顔を見つめながら、怪訝そうにゆっくりと、その手から拳銃を奪いとった.
背中腰に入れ込むと、死骸から目を逸らさずに距離をおいた.