‐あおい‐



うすく、色褪せた一枚の写真.


そこには兄、両親の姿.そして幼きころの自分が父に抱かれている姿が写し出されていた.




「・・・父さん・・・・・・・・・母さん」




写真を両手で大事に拾いあげ、ただゆっくりと見つめる.



「・・・・・・兄貴」



ぼろぼろと涙が写真に零れる.
写真はいとも簡単に涙をはじく.





相原は瞼を思いっきり閉じる.
溢れきった涙を確認すると、瞼をひろげた.




「・・・帰ろう・・・・・・一緒に」



決意ともとれるその言葉.
顔つきが勇ましく変わってゆく.

相原の気持ちは、微妙に変化を遂げてゆくのだった.
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