‐あおい‐
【63.体液】
後藤康司にも同じくして、液体は近づいていた.
ズズズズっと、ドロドロが横たわる後藤の手の先から浸食していき、そこから体は紫色へと変わっていく.
後藤はなんだか体に熱いものを感じ、気絶していた体をおこしあげた.
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
激痛が走る.全身を小さな針で思いっきり差され、貫き通し、ハリネズミになったような気分.
この痛み.懐かしい痛み.
『人間』としての確かな痛み.
わずかに思い出す.ちゃんと人間だったころを.
やがて全身に毒のように体液はまわり、完全に吸い込めるだけ吸い込んだ.
「ふぁ・・・・・・・・・・・・ああああ・・・」