‐あおい‐




少しの間、沈黙が流れる.


こんな空気が苦手な宮地は話題を頭の中から探り出す.



「・・・・・・そうだ!学校案内してやるよ!」





「・・・・・・・・・・・・」

しかし、宮地の頑張りも虚しく、中村からは何も返ってこない.






これだけアクティブに話し掛けてるのに・・・
と、宮地は徐々に怒りを覚えた.



「あのなぁ・・・こんだけ気ぃ使ってんだから、なんかしゃべれ・・・!!」


少し怒鳴りつけるように、セリフを言いきろうとした時だった.


中村はカフェ・オ・レをもった右手を宮地の目の前に持ってゆく.






「・・・・・・・・・・・・これ、・・・ありがと」



優しくもなく、怖い口調でもない.

ただ普通の素朴な声だった.
『照れ』の似合わない顔.目を逸らし、顔は紅潮していた.


「・・・・・・・・・はは」





中村からやっと出た言葉は、たったの一言だったが、宮地は安堵感、安心感その全てに包まれた.



そして舞い上がるようなテンションで陽気に言葉を贈る



「今日から、俺ら友達だかんな!」





あおい島がまだ爽やかな空気だったころ.

2001年、夏の晴れた空の下.


中村朋樹の絶命の3ヶ月前の出来事だった.
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