‐あおい‐
もう為すすべがない.
素手になってしまった瀬戸は石のように固まってしまった.
その後ろで瀬戸の背中で目を強く閉じる夏希.
護らなきゃ!夏希を・・・護らなきゃ!
そんな想いが余計に瀬戸を焦らせる.
「・・・・・・や・・・め・・・」
やっとでた声にならない声.
届かなかった声は、空間の何かにもみ消される.
「今度こそ、サヨナラだ」
その時だった.
ヒタ・・・ヒタヒタ・・ヒタ・・ヒタ・・
『何か』の歩く音.
その発信源は体育館玄関口だった.
東堂、瀬戸、夏希は一斉に玄関口へと目をやった.