【件名:ゴール裏にいます】

日の暮れた街には既に秋の気配さえ漂っている。

僕と権田先輩は目的の店まで並んで歩く。
さっきの一言に引っ掛かるものを感じていたが、口に出す事は出来ないでいた。

10分程歩いて辿り着いた。

『ランジェリーパブ・果樹江悶(かじゅえもん)』

店名からしていかがわしい匂いがプンプン漂う。
権田先輩はここの『ここあさん』が大のお気に入りで週一、多い時には週二で足繁く通っている。

僕や時には上司を誘って来るのだから、店にとっては上客の部類に入るのではないだろうか?

『45分5,000円ポッキリ』
決して安いとは言えない金額を払ってボックス席へと案内された。

「いつもありがとうございます、権田様。ご指名はいつもの・・」

「おぅ、ここあ居る?」

「かしこまりました。では指名料1,000円頂きます。そちらのお客様は?」

権田先輩とボーイのいつものやり取りを聞きながら「僕は結構です」とやんわり断る。

まだ時間も早いせいか店内に居る客は僕らだけだ。
入って来た時にお店の女の子がカラオケの練習をしていたのはご愛嬌さまってところだろうか。

僕は沙希ちゃんにメールをすべく携帯を取り出した。


【件名:Re:お久しぶりです】
お久しぶり、勇次です。
断ってばかりでは申し訳ないんで今度付き合いますよ。
一番近い試合はいつかな?
それと食事にも行きましょう。


送信ボタンを押したところで女の子が二人僕らの席へとやって来た。

「こんばんは、権田さん、いつもありがとうございます。勇次さんもいらっしゃいませ」

ここあさんはしっとりとした美人で歳は僕より一つ下だと言う。

「はじめまして!ももで〜す!今日からここで働いてま〜す。よろしくお願いしま〜す」

こちらの女の子は元気だ・・。
ちょっと苦手なタイプかも。

権田先輩の左隣にここあさんが座り、僕と先輩の間にももちゃんが座った。

あいだもも・・。(古いですね、すいません)

ももちゃんは今年二十歳になったばかりと言う。

(沙希ちゃんと同じか・・見えないな。ももちゃんの方がロリっとしてる。それに巨乳だ)

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