揺心 ‐ユリゴコロ‐
本当は知っていた。


『取りあえず上がれよ』


拓也の好きな人が。

『うん』

『なぁ、2年でやるこの問題分かるか?』


私の姉の沙織だということを。


拓也も私と同じで、いとこが好きだということを。


『はぁ?! 入ってきたそうそう何?! てか、それアタシに聞くー?!』

『だって俺の周り、2年なんか百合くらいしかいねぇし』


早く拓也の口から聞きたいよ。


『しょぉがないな~でもアタシバカだよ?』

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